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香杏舎ノート

第100回「何もしないのに疲れる」

いつの頃からか[何もしないのに疲れる]と訴える人が増えてきた。「家にいるだけなのに疲れる」とか、「デスクワークだけなのに疲れる」といった話を聞く。一般の人には肉体労働によって疲れるという先入観があるから、じっとしていても疲れるのが不思議なように感じる。だが、同じ姿勢を続けていると、その間肩や背中の筋肉は収縮し続けているのだから、筋肉が疲労することに変わりはない。

「肩凝りがひどかったが、プールで泳ぐようになって楽になった。」こんな話を聞いたことがあるかもしれない。考えてみると不思議なことだ。疲労した筋肉をますます疲労させて、どうして肩凝りが楽になったのだろう。それは筋肉の収縮のしかたに違いがあるためだ。

等張性筋収縮と等尺性筋収縮

トレーニングの本を読むと筋肉の等張性収縮と等尺性収縮という言葉が出てくる。等張性収縮とはバーベルを上げたり下げたりするような運動、つまり筋肉が伸びたり縮んだりする運動のことを言う。プールに行って泳ぐと、水をかくために肩や腕の筋肉は伸びたり縮んだりする。こういった運動による収縮を等張性収縮という。

一方の等尺性収縮とはバケツを持ってじっと立っているような状態、つまり筋肉が伸びたり縮んだりするのではなく、筋肉の長さが変わらない状態で一定の負荷が筋肉にかかる状態だ。デスクワークのとき肩や背中の筋肉は姿勢を保つために一定の長さのまま収縮を続けている。筋肉は同じ長さのまま収縮しているから等尺性収縮という。

プールで泳ぐと、筋肉は収縮と弛緩を繰り返すから筋肉内に疲労物質の乳酸が溜まってもすぐに血液によって運び去られる。一方デスクワークでは筋肉は長い時間等尺性収縮を続けていることになる。すると筋肉は固くなり、血流が乏しくなって疲労物質が筋肉に蓄積する。固まった筋肉を等張性運動で動かしてやると、筋肉の弾力が回復し、乳酸が洗い流され、疲労をとることができる。プールで泳いだら肩凝りがなおったというのは、こういう理由によるものだ。

等尺性筋収縮と等張性収縮を厳密に分けて話してきたが、実際に何らかの作業をする場合、筋肉がどちらかの収縮だけを起こすことはない。ある筋肉は等張性収縮、ある筋肉は等尺性収縮をおこなう。労働によってどちらかの収縮が多いということになる。

時代による筋収縮の変化

畑を耕したり、物を運んだりするのを人力に頼っていた時代、筋肉が伸びたり縮んだりする等張性収縮による疲労が多かった。近年はデスクワークや立ち仕事の量が増えたから等尺性収縮が主な疲労の原因だ。労働の変化から筋収縮の状態が変わってきたのだ。さらに疲労する部位も手足の筋肉から背中を中心とする姿勢を保つ筋肉に移ってきた。

こういう等尺性収縮による疲労をどう解消していけばいいのだろう。本来なら運動によって筋肉を動かし、疲労物質を取り除いてやればいいのだが、長年にわたって等尺性収縮を続けてきた筋肉は石のように固く、運動で解消しようと試みても少しの運動でも消耗してしまう。そこで多くの人は按摩やマッサージに行くのだが、楽なのはそのときだけですぐに元にもどってしまう場合が多い。

治療方法も変わる必要がある

治療を受けても疲労が取れない原因は、多くの治療家たちがこの疲労の変化を見逃しているためだ。鍼灸、接骨、カイロなどの技術は肉体労働の時代に発展してきたから等張性収縮を中心とした治療体系になっている。肉体労働による凝りは、鍼一本の刺激にも反応して弛緩する。だが運動不足から固くなった筋肉に鍼を一本うったところで反応しない。労働が変化したことを理解して治療しないと疲労を解消できない。現代人の筋肉をほぐすには特殊な治療が必要だ。筋肉に強い刺激を与え、筋肉に弾力が出るように筋肉を緩めていく。筋肉に弾力が出てきたら、少しずつ等張性収縮の運動をしていく。すると筋肉も太くなり、健康な体を作ることができる。私の診療所では鍼灸師や柔道整復師にこの方法を覚えてもらい患者さんの治療に当たっている。

私の感想

肉体労働による等張性収縮運動は疲労を自覚しやすい。筋肉が痛いとか力が入らないといった症状が出るためだ。手や足の筋肉が主に使われるからよけいに疲労を感じる。一方デスクワークなど一定の姿勢を保つ動作は起立筋とよばれる背中の筋群が中心に疲労する。筋肉の疲労は筋肉痛といったはっきりしたものではなく、単に体全体がだるいといったことだけが自覚される。子供の頃から運動せずに受験一筋できたような人の疲労を取るには時間がかかる。背中の姿勢を保つ起立筋は文字どおり石のように硬くなっているからだ。治療を受ける側もこういう理屈を知っていないと治療効果が上がらない。疲労はこの他にも精神的疲労や食べ過ぎによっておこることもある。こういったことはまた別の機会に説明したい。

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