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漢方医

はじめに

私が10年以上にわたって毎月原稿を書いてきた香杏舎ノートを止めてしまったことと、最近問題になった健康番組の捏造事件とは無縁ではない。何年か前、テレビ局のディレクターを名乗る人から電話があり、香杏舎ノートの記事について電話取材したいとの申し入れがあった。診療後、電話取材に応じて約1時間にわたってノートの内容を補足する説明をおこなった。1ヶ月ばかり過ぎたある日、その健康番組で説明した内容とまったく同一のことを関東にある大学の教授があたかも自説のように説明をしていた。別に私の名前を出して欲しいというわけではないが、放送前に一言連絡があってもいいのにと思った。さらに1~2年が過ぎたころ、またテレビ番組を作る会社から電話がかかってきた。こんどは別のノートの内容についてどこまでが自分のオリジナルなアイデアかという質問だった。そのノートには他の研究者の引用を書いていたから、どこまでが引用者の意見で、どこまでが私の自説なのか知りたいとのことであった。また引用した文献についても詳しく教えて欲しいということだった。私は「忙しいので申し訳ないが失礼します」と電話を切った。

原稿を書く意欲をなくすもう一つの出来事があった。それは出版依頼である。出版依頼と聞くと大変結構なことのように思えるが、実態は詐欺なのだ。ここで少し出版のことについて説明しておこう。出版には大きく分けて3種類ある。一つ目は依頼出版といわれるものだ。作家に原稿を依頼し、売れた本に比例して原稿料を支払う形式の出版だ。原稿料は売上の10%くらいのことが多い。2つ目が創作出版といわれる方式。面白そうな内容の本を出版会社がリスクをおかさずに出版する方法だ。まず初刷りの1000部ほどは著者が費用を出して製作する。費用は400万といったところだ。これを出版社が書店に置き、売れ具合によって増刷分から原稿料を著者に支払う仕組みだ。3番目は自費出版、店頭に本を配布することはなく、著者自身が出版した本を自宅に置いて販売したり贈与したりする。細かく言うとこの自費出版にも2種類あり、出版会社の名前を書籍に入れる場合と入れない場合がある。出版社名を入れる自費出版は校正をしっかり出版会社がしましたよという証になる。

さて、最近よく詐欺に使われるのが、この創作出版だ。出版会社といっても各書店に本を配布できる出版会社と単なる印刷屋さんの2種類がある。町の印刷屋さんで本を印刷しても書店の店頭には本を置いてくれない。配本できる権利をもつ出版会社でないと駄目なのだ。

出版会社も他の業種と同様に景気の悪いところが多い。景気の悪い出版会社は原稿を書いている人物に目をつけて電話をしてくる。
「東京の出版会社ですが当社から出版してはいかかですか。初期費用はかかりますが、売れれば歩合をお支払いします。」 日本では毎日、膨大な数の書籍が出版されているから有名人でなければ本が売れるはずもないし、書店には有名でない著者の本を置くスペースもない。業者は書店に配布することもなく、売れなかったと著者へ返品してくる。いずれにせよこんな電話がちょくちょくかかってくると、面倒でしょうがない。そんなわけでしばらく原稿を書くのを中止していた。

だがまた原稿を書いてみようと思ったのには訳がある。最近、妙な漢方知識を吹きこまれた患者さんが増えてきたのだ。「先生、産婦人科の先生が私のお腹を触って瘀血があり、脾胃の不和があると言われました。それって何のことですか」とか鍼灸の先生に「腎が弱っていると言われたのですが、私は本当に腎臓が悪いのでしょうか」とか言う。

こういう話を聞くと、医者や鍼灸師も漢方を理解せずに言葉を使っていることが分かる。脾胃の不和とは消化不良ほどの意味だし、瘀血はノートにもホームページにも書いてあるので、それを参考にしていいただければよいのだが、この場合は生理不順くらいの意味なのだろう。
鍼灸師の言った「腎が弱っている」については少し説明がいる。古代人は腎臓がどんな役割をしているか分からなかった。解剖学も生理学もない時代だから腎臓ばかりでなく肝臓や脾臓の機能も分からなかった。そこで推論から腎や肝、脾臓に機能を割り振った。腎には生まれながらの成長力、生命力が宿っていると考えた。なぜそう考えたのかは、古代の中国人に聞いてもらわねばならない。いずれにせよ鍼灸の先生は脈などから腎虚つまり腎臓が弱っていると判断した。これを翻訳すれば、生命力や成長力が弱っているほどの意味だ。鍼灸師は腰痛か何かを老化だと言いたかったのだろう。だがこれは決して腎機能が弱って、尿毒症や腎不全になることとは一切関係がない。こういう難解な漢方用語を用いてそれをそのまま患者さんに説明することは適当ではないし、誤解を招くことにもなりかねない。

漢方医学の理論を学ぶことは医者や鍼灸師にとっても容易ではない。私も幾度か難解な中医学の本を理解できずに腹を立て、読んでいた本を床に投げつけた経験がある。この難解だが有意義な考え方も含まれている漢方医学を少しでも一般の人にも分かってもらえればと思う。ただし、私が漢方医学入門などという文章を書いても誰も読んではくれない。そこで私が漢方医になるまでの経過を振り返り、私がどう難解な漢方に立ち向かい、腹を立てながらも学んでいったかを小説風、つまりすべてが事実ではないということをここに明言しておきたいのだが、そういった書き方をすることで、漢方医学を楽しみながら理解してもらえるのではないか、つまり、面白く読んでもらえる漢方医学入門書ができるのではないかと思った。

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