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香杏舎ノート

第167回「漢方で消えた硬膜下血腫」

頭蓋骨の中の3層の膜頭蓋骨の中に脳はあるのだが、3層の膜に包まれている。外側から硬膜、クモ膜、軟膜だ。ここに出血すると場所によって図のように4つの名前がついている。

頭蓋骨は閉鎖された空間なので、皮下出血とは違って脳が圧迫され、危険な状態になるため緊急の手術が必要になることが多い。

この中で経過観察することが出来るのは慢性硬膜下血腫だ。外傷もなく出現することが多い。男性の老人に多く発症する。老人性痴呆だと思っていたら慢性硬膜下血腫だった。手術したら痴呆が改善したなどと言うこともある。まれに自然に吸収されることもあり、経過観察をする場合、ステロイドや利尿剤の投与も試みられている。

頭を水平に輪切りにした図

頭を水平に輪切りにした図

6か月前に脳動脈瘤の手術をした76歳の男性が受診した。手術後経過観察のためにCTを取っていたら硬膜下血腫が見つかった。病院の説明では手術との因果関係はないとのことだが、1か月後のCTの検査で血腫が同じ大きさなら手術に踏み切るという。手術はしたくないので、それまでの間、漢方薬の投与を受けたいと希望して来院した。

治打撲一方

治打撲一方の加減を投与したところ硬膜下血腫は消失して手術をせずにすんだ。治打撲一方は読んで字のごとく打撲を治す薬という意味だ。漢方には体内に溜まった不要な血液を瘀血(おけつ)と呼び、これが様々な病気を起こしてくるという医学的仮説がある。

内出血はとりもなおさず瘀血のことであり、治打撲一方が血液の吸収を促進することは、以前にもお話しした。写真はクリニックの従業員が転倒して内出血したのが治っていく経過を示したものだ。

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内出血が急速に消失しているのが分かる。瘀血を治す薬は他にもあり、例えば通導散もその薬だ。通導散、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)といった薬が保険で使える瘀血を取る薬として知られている。

日本の漢方医の悪しき習慣として、処方を1つの薬のように考える癖がある。そういう考え方で内出血を治そうとすると、どの薬がいいのか分からなくなってしまう。
そうではなくて、処方の中に含まれる駆瘀血作用(瘀血を取る作用)のある生薬、牡丹皮、桃仁、蘇木、樸樕(ぼくそく)といった生薬の組み合わせを理解しないと、強力な駆瘀血薬を作ることは出来ない。私の作った薬は自打撲一方に蘇木、牡丹皮なども入っている。

五苓散を慢性硬膜下血腫に使う?

ネットのある記事をみていると、慢性硬膜下血腫に五苓散が使われ始めているという。もともと五苓散は熱病で小便不利(尿がでない)時の薬で、内出血に使う薬ではない。どうして使われ始めたかというと、西洋医学では、利水剤を試しに慢性硬膜下血腫に使っているからだろう。だが、西洋医学でも利水剤が効くという証拠はない。

漢方の素養ある医者なら迷わず駆瘀血剤をつかうだろう。五苓散が効くかもしれないが、効きそうなものから試すのが漢方医だ。おまけに保険の五苓散は効きが悪い。

五苓散はもともと生薬の粉から出来ているはずだ。だから五苓という。保険の五苓散は五苓散といって同じ生薬から出来てはいるが、生薬を煎じたものだ。粉と煎じた物では断然効き方が違う。わざわざ粉にすると原典に書いてあるものを何故エキスにするかといえば、それのほうが、薬価が高くつけてもらえるからだ。本草製薬の五苓散は生薬末をうまく顆粒にしたもので、知人の前田さんが作ったものだ。それでも多量に使わないと効きが悪い。また漢方の利水剤は五苓散だけでなく、防已黄耆湯の防已とか車前子にも利水効果がある。

難病に漢方を適応する場合、もう少し漢方専門の医師と共同で治療にあたるべきだといえよう。

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