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香杏舎ノート

第81回「輸入漢方薬」

患者さんが薬を調べて欲しいと持ってきた。東南アジアを旅行したときにやせ薬として購入したものだという。私はてっきり漢方薬だと思ったが、それは西洋医学の薬だった。開業医にとって日本で発売されていない薬を調べるのは難しい。最新の文献が集まっている大学病院の図書館なら調べられるのだが、開業医が臨床で使う西洋薬は保険の薬と決まっている。とりあえず米国のインターネット上に文献検索のサイトがあるので見てみた。すると、その薬は確かにやせ薬として欧米で使われている。しかし、サイトでは文献の要約しか調べることができない。そこで製薬会社に勤める友人に頼んで詳しい文献を送ってもらった。すると副作用として肝障害が起こる可能性があると書いてある。患者さんにその情報を伝えるとともに、飲むかどうかは自分で判断して欲しいと伝えた。

漢方が専門の私の所には、旅行中に買った漢方薬やお土産にもらった漢方薬を調べて欲しいという依頼が多い。そんな時、ほとんどの薬は飲まないように指示する。漢方薬は安全なのに、どうしてなのだろう。

輸入漢方薬の問題点

中国で作られている漢方薬の箱には成分が表示されていない。書かれていたとしても麻黄、地黄、大棗、乾姜等と書かれていたりする。そして多くの場合、書かれていない生薬が大きな効果を発揮する。効く成分を説明表示に書くと、別の製薬会社に真似されるから書いていない。つまり何が入っているか分からないのだ。
問題はそれだけではない。中国には偽物が多い。以前、田七と麝香(じゃこう)を混ぜた肝臓の薬が流行した。日本に輸入されたその薬ほとんどが偽物だった。麝香など紀元前から偽物が作られてる。中国の偽物作りには年季がはいっている。

輸入漢方薬の中で最も問題になるのは漢方薬に西洋薬をまぜている場合があることだ。やせ薬と称する漢方薬の中に甲状腺末や上で述べた西洋薬が入っていたり、リウマチの薬の中にステロイドが入っていたりする。こういった事情からおみやげ用に買ったり、もらった漢方薬は飲まないほうが安全だと私は考えている。

同名異種、異種同名の生薬

漢方薬は幾つかの生薬を組合せてつくられている。たとえば風邪のときに飲む葛根湯は葛根(かっこん)、麻黄(まおう)、大棗(たいそう)、桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)という7つの生薬が組み合わされてできている。生薬を組合せて作られた漢方薬が信用できなくても、生薬そのものなら間違いないからと個人輸入して飲む人もいる。じつはそれも危険なことがある。生薬の一部は同名異種、異種同名のものがある。日本で売られているものと同じ生薬だと思って飲んだら違う生薬だったということが起こりうる。実際、そういう間違いから危険な生薬を飲んで健康を害した人もいる。

生薬についている残留農薬も問題だ。栽培している生薬には多量の農薬が散布されている場合がある。以前、私は朝鮮人参の葉を使ってみようと思った。だが残留農薬が多くて使いものにならないと生薬問屋の人が教えてくれた。
天然の漢方薬でも注意が必要だ。昨年、私は中国からミミズを輸入した。輸入に際しては水銀やDDTなどの農薬の検査を依頼した。ミミズが汚染された土壌の中にいればそういったものに汚染されてしまうからだ。

ユニクロの成功

中国と取引した経験のある人は、誰でも中国との取り引きの難しさを知っている。商品見本はよかったのに品物を買ってみたら粗悪品だった、中国に工場を建てて製品を作ったらすぐにそっくりの物を作られた、そういう話をよく耳にする。
こういった困難な状況の中で大きな成功を収めたのがユニクロだった。ユニクロは中国の数百の工場からサンプルを取り寄せて優秀な工場に仕事を依頼した。出来上がった品物はすべて検品して合格したものだけを現金と交換するという形で買い取った。

ユニクロのこういったやり方は、品質のよい品物を中国で作るための一つのビジネスモデルとして高く評価され、また中国人も品質のよい物を作れば消費者の信頼を勝ち取ることができ、いい商売になることがわかってきた。昨年、中国がWTOに参加することが決定したから、今後の取り引きはいい方向に変わってくると思われる。こういった状況の中で輸入漢方薬の問題も次第に解決されてくるに違いない。

私の感想

中国で売られている漢方薬すべてが危険なわけではない。大半のものはいい品物だと思う。だが危険な西洋薬が混ぜられているものを飲んだとしたら命にかかわる。だから決して素人判断で薬を飲んではいけない。こういった輸入漢方薬の問題が新聞紙上を賑わすと、漢方薬そのものが危険だと誤解する人が出てくる。困ったものだと思う。

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