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香杏舎ノート

第67回「痛み」

私の手には5つの切り傷の痕が残っている。そのうちの4つは子供の頃にナイフで怪我をしたものだ。昔、雑貨屋に[肥後の神]という小刀を売っていた。これで鉛筆をけずったり、竹トンボを作ったりした。この小刀は安くてよく切れるのだが、刃を取り出して使っていると、刃と鞘の部分が折り曲がって指が切れてしまうことのある、あぶない代物だった。この小刀で切った傷が4箇所もある。もう一つの傷は包丁で切ったものだ。兄がトマトを包丁で切って食べていたので、「僕にもくれよ」と手を出した。そのとき兄が冗談で包丁を振ったら腕に当たって3センチほどの傷ができてしまった。
昔は鉛筆削りなどなかったし、ひげ剃りもカミソリだったから誰でも誤って自分を傷つけた経験があるはずだ。今の子供達は刃物で手を切ることは少ない。小刀を使って凧を作ったりして遊ぶことはないし、食事の支度の手伝いをして包丁で手を切ることもない。今の人達は昔に比べて痛みに出会うことが少なくなってきたように思う。怪我をする確率が低くなっただけでなく、学校での体罰や運動部でのシゴキも禁止されているためだ。

痛みは体を守るため

痛みは外部の刺激から体を守るためにある。だから体の内部には痛みを感じる神経が分布していない。心臓カテーテル検査というのがある。皮膚を切って血管内に管を入れて、心臓まで差し込んでいく。血管内には痛みを感じる神経は走っていないから、管を血管内で動かしても痛みを感じない。もし動脈の血管壁が物に触れるような状態になれば、人はもはや生きていることはできない。そういう状況を体は想定していないから痛みの神経は血管の中にはないのだ。

痛みはないほうがいいに決まっている。痛みは刺激を避けるための警告信号だからだ。だがあまりにも痛みを感じたことがないのも問題だ。痛みに対する恐怖心が無くなることで、他人に対する暴力が度を越してしまうためだ。手をナイフで切ったことのある人は、切られたらどれだけ痛いかという想像が働く。ところが一度も刃物で怪我をしたことがない人は、腹が立てば平気でナイフで人を刺してしまう。刃物を見ても恐ろしいという想像が働かない。
人を殴るというのも同じだ。頬を平手打ちされたことのある人は、痛みと同時に屈辱感を味わう。殴られるのは痛いばかりではない。そういう経験のある人は殴るにしても限度というものがおのずとわかってくる。

最近の暴力事件

最近のニュースを見ていると痛みを知らない世代の暴力が多いと感じる。自分の子供をせっかん死させたり、つまらないもめ事で人を刺し殺したりする。殺すつもりでなく、軽い気持で殴ったら死んでしまったという、そんなケースが多い。こういう暴力事件の背景にはテレビや映画の影響が大きい。単に暴力シーンが悪い影響をおよぼしているというのではない。テレビで2人の男が殴り合っているシーンを思い浮かべてほしい。主人公の男は殴られても殴られても起きあがってくる。レンガや棒で殴られても倒れない。こういう映像を見ると、少々のことでは死なないのだという誤解が生じてしまう。実際の喧嘩なら1発殴られてたところで勝負がつく。そしてレンガで殴られたところで絶命してしまう。

殴られたことのない世代がこういった画像をみて育つと大変だ。暴力を振るっても相手は痛みを感じないし、死にもしないと勘違いしてしまう。だから人を殴る時、加減しないで殴る。ひょとするとテレビでみた暴力の何分の1かに抑えて殴っているのかもしれない。だがその程度の暴力でも人を殺すに十分なのだ。

コンピューターグラフィックのおかげて実際にはありえないようなシーンまで映像で見られるようになってきた。暴走する車に走って乗り込んだり、列車から列車に飛び移ったりするシーンがあたかも本当のことのように見ることができる。いわゆるバーチャルリアリティーというやつだ。こういう技術が発達すると、このような誤解がますます大きくなっていくだろう。

私の感想

プロゴルファーの坂田氏が主催している子供のためのゴルフ塾がテレビで紹介されていた。坂田プロは子供たちにゴルフクラブが危険なことを教えるために子供達の頭をゴルフクラブのグリップでガツンと叩いていた。一度痛い思いをするとゴルフクラブがどれだけ危険かよくわかる。口でいうより痛い思いを一度経験しておくと重大な事故を未然に防ぐことができるという。こういう教育も乱暴ではあるが、今の時代には必要なのかもしれない。

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