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香杏舎ノート

第61回「カリスマ」

医学部を卒業して謝恩会に出ていたときのことだ。私は会場の真ん中でウイスキーの水割りの入ったグラスを片手に持ち、ぼんやりと考えごとをしていた。すると血液学の教授がツカツカと歩み寄ってきた。「何だね、君は。助教授みたいな顔をして」、 教授はそれだけ言うと何処かへ立ち去っていった。大学を卒業したばかりの私に、何故そんなことを言うのだろう。この光景を目撃していた友人が「お前は上司から嫌われるタイプや。2回もそんなこと言われてたじゃないか」という。たしかに教授は、わざわざ2度も「助教授みたいな顔をして」と言うだけのために私の所に出向いてきた。どうやら私は不遜な顔をして会場にいたらしい。教授にいささかの悪意も私は持っていなかったのだが、教授には腹が立つほど横柄に映ったようだ。

仏眼

目と目の間、額に仏眼という場所がある。仏像の額の盛り上がった部分だ。そこから人は気を発している。言葉を交わさなくとも、そこからの気を感じて人は好き嫌いを決める。だから好きや嫌いに理由はない。その教授にとって、私は不愉快な気を仏眼から出していたのだろう。 人に好き嫌いがあるのは、仏眼から出る気が、ある人には好感を、またある人には嫌悪感を抱かせるからだ。ごく稀だが誰にでも好かれる気を出している人もいる。こういう人はスターになる素質のある特別な存在だ。たとえ歌がうまくてもスターになれない歌手は万人に好かれる気を出すことができないのだ。

水戸黄門

誰だって人に好かれたい。尊敬されたい。そしてできることなら畏敬の念を持たれたい。少なくとも悪く思われたいと思う人はいないはずだ。だが平凡に生まれついた人の出す気は弱く、取り立てて好かれることも嫌われることもないことがほとんどだ。 教授にそんな事を言われた私だが、私も特に人に嫌われるでも好かれるでもない平凡な生活を送ってきた。 水戸黄門という世の親父たちに人気の番組がある。番組の最後で黄門様の出す印籠に悪人たちがひれ伏す。その瞬間、テレビをみている親父達は快感を感じる。親父たちが一番欲しいもの、それは人から畏敬の念で見られることだ。普通の人は畏敬を抱かせるような気を持ちあわせていない。だからせめてもテレビのドラマで自分の気を晴らすことになる。

カリスマ

仏眼から強い畏敬の念を抱かせる気を出す人をカリスマと呼ぶ。本当のカリスマは裸でいても畏敬の念を抱かせる。だが黄門様は印籠がなければ、だだの薄汚い爺さんだから、本当のカリスマとは呼べない。江戸時代の身分制度からきたカリスマだ。身分制度の理解できないアメリカ人が番組を見ると、印籠からレーザー光線でも出ているのかと不思議に思うらしい。

印籠が欲しい

スターや英雄が持っているカリスマ性を持たない我々は、せめても印籠を持ちたいと思う。そういう印籠はないのだろうか。じつはお金が印籠の役目をする。お金持ちは ロールスロイスに乗ったり、エルメスの服を着たり、一千万もする時計をつけたりすることでカリスマ性を出す。実用ということでは安い品物でも十分だが、金を持っているということでカリスマ性を出したい。値段のはっきりしているブランド品が好まれるのは、そんな理由からだ。 平凡な人のためのカリスマ道具は他にもいくつかある。一つは格式だ。格式ばることで威厳を作り出す。たとえば格式ばった服装もその一つだ。もし銀行にいって、男性 行員がすべてTシャツとジーンズを着ていたら、お金を預ける気がなくなってしまう。 堅苦しい服装や儀式は印籠の代わりになる。

情報制限

有名人がカリスマ性を高めたいと思えば、情報を制限して謎の人物になるのにかぎる。 自分の偉業を宣伝し、あまり公衆の前に出なければカリスマ性を強めることができる。 こういう手法を昔から政治家や王侯貴族はとってきた。だがマスコミが発達するに伴い、この手は通 じにくくなっている。イギリスのチャールズ皇太子がカミラ夫人と浮気をしていることがばれてしまえば、誰もイギリス王室にカリスマ性を感じなくなってしまう。昔なら隠しとおせたことでも今は不可能だ。アメリカ大統領だったケネディがモンローと遊んでいても死ぬまでばれなかったが、クリントンがどんな目にあったかを考えれば、今日、情報制限がいかに難しくなってきたか分かる。ただし、クリントンは本物のカリスマ性をもっていたから、一度も支持率が60%を割ることはなかった。

カリスマが必要な職業

世襲される職業にカリスマ性が必要なのは言うまでもない。歌舞伎役者が格式ある襲名披露をするのもそういった理由からだ。でもほんとうにカリスマを必要とする職業は何なのか。畏敬というより畏怖の要素の強いカリスマ性を必要としているのはヤクザだ。暴力をふるわずに人にビビってもらいたいから連中はずいぶんとその辺のところを研究している。

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