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民間治療見聞録

第17話「気功」

全国の霊場や健康祈願の神社の周辺には、超能力者や気功師、占い師といった人たちが、お参りにくる人たちをつかまえようと待ち構えている。それはあたかも神社仏閣に巣をはって獲物を待ち構えるクモようだ。

私は東大阪の石切神社の近くに住む女郎グモのような坊主と知り合った。墨染めの衣をまとい、頭を丸め、長い髭を生やしていたが、本当の僧侶かどうかさえ怪しかった。坊主の主催する講習会に出席し、10万円を払えば気を出して病気を治す方法を教えてくれる。10万円はその坊主の宗教法人を作るために使われるのだという。

あまりに怪しげだが、ともかく講習会に出席してみた。
坊主が口を開いた。「皆さんは火事場の馬鹿力という話を聞いたことがあるでしょう。火事になって家財道具を運び出す時、自分でも信じられないくらい重い物、たとえばタンスを丸ごと 一竿(ひとさお)担いで逃げた。火災が鎮火した後、そのタンスを動かそうとしても、びくともしなかったといった話を聞いたことがあるはずです。」そこまで話すと 勿体(もったい)をつけるように、ひと呼吸おいて話を続けた。

「気とは私たちの体の中を流れている血液のような物です。命に関わるような緊急事態になると、気が一度に放出されて自分でも信じられないくらいの力が出るのです。でも火事場のクソ力のような大量の気をいつも出し続けていると、すぐに死んでしまいます。そこで普段は気が体の外に漏れないように、しっかりと鍵が掛けられているのです。
気功とは自分の意志でこの鍵をはずしたり掛けたりする技なのです。この技術さえ学べば誰でもすぐに気を出せるようになります。つまり、私がこのやり方を皆さんに教えさえすれば、すぐに気功師になれるわけです。ただし、気を使うのは簡単ですが、気を貯めていくのは大変です。貯金と同じですね。」

なにやら妙に説得力ある話だ。怪しげな坊主は私が想像していたより、はるかにまともだ。
「それではどうして気を貯めたらいいのでしょう?まず頑強な体をつくることです。健康であれば、気のレベルも高くなります。
つぎに積極的に気を貯める方法もお教えしましょう。2つの方法があります。一つは大自然の中で自然の気を取り込むことです。自然の気は何処の場所でも同じではありません。自然の中でも良質の気が地下から噴出しているところに行きましょう。気のいい場所には神社仏閣が建っていることが多いようです。そこで清々しい気持ちになればそれだけでも効果があります。
気功師なら自然の気を浴びながら座禅をします。そして呼吸法を始めます。腹式呼吸法で、できるだけ長く息を吐き、また吸うのです。呼吸が整うと小周天(しょうしゅうてん)をします。小周天とは自分の意識を丹田(たんでん:ヘソの下)にもっていき、この意識(ボールのようなものを想像してもらうといいでしょう)をゆっくり体の中でまわしていきます。そうすれば気が強くなります。その後、頭頂部から自然の気を取り込みます。これを大周天といいます。これが自然の気を取り込む方法です。」ここまで話すと、坊主は何故かニンマリと笑った。

「もう一つの方法は人から気を取る方法です。電車に乗ると、考え事をするでもなく、ボーと外を見ている人がいますね。そういう無防備の人からは気を取ることが出来ます。でも一番効率よく人から気を取ることが出来るのは房中術( ぼうちゅうじゅつ )です。セックスのとき女性から気を抜き取る方法です。女性がクライマックスに達したときに気を抜き取るのです。」

人から気を抜き取るとは何とデンジャラスな言葉だろう。ふと、私は陶先生が言っていた気功師のことを思い出した。その気功師は女性を2人連れていた。陶先生が「気を使うためには女性が必要らしい」と言っていたのを思い出したのだ。房中術は実在する手技なのだろう。

話が面白いので、しばらく講習会に通うことにした。講習会の後は、その坊主と食事をしながらの懇談会がある。
その会である人物と知り合った。その人は大手電機メーカーの特許部長だった。「私は特許の仕事をしているが、もともと電気屋です。電気って目に見えないでしょ。だから目に見えない不思議なものでも信じることができるのです。私の妻は病弱で入退院を繰り返すのですが、病院に入院するより奈良県の高天彦(たかまがひこ)神社に行くほうが元気になる。その神社には霊気が溢れている」という。
なるほどそこが自然の気が地下から噴出しているところなのだと思った。

高天彦神社

高天彦神社
社の後ろには 鬱蒼とした木々で覆われた山が迫っている。ご神体は後ろの山そのものだから本殿はない。

夏の暑い日、家族で 高天彦神社に行くことにした。目印の高鴨(たかがも)神社を通り過ぎると急な上り坂になる。30分ばかり歩いたがいっこうに神社は見えてこない。4歳になったばかりの娘が暑さのために歩けなくなった。あきらめて帰ろうとしていると、一台の軽自動車がそばに止まった。

運転していたオバさんが、「何処に行くのですか?」と声をかけた。「高天彦神社です」というと、「まだ結構距離があるから、乗っていきなさい」と言ってくれた。オバさんは途中の売店でアイスキャンディまで買って食べさせてくれたから、家族全員が生き返った。

高天彦神社は想像していたより小さな神社だった。だが車を降りて近づくと、神社には清々しい霊気が満ち溢れているのを感じた。

神社に通じる参道は高い木の間にある。後ろの山がご神体。 何やら空が高いような澄んだ気を感じることができるだろうか?

神社に通じる参道は高い木の間にある。後ろの山がご神体。
何やら空が高いような澄んだ気を感じることができるだろうか?

写真では残念ながら満ち溢れる霊気を直接感じることが出来ない。

私は10万円を払って気功師の直伝講習を受けることにした。直伝講習に参加すると、私以外にも医者が来ていた。
その医者は阿久根さんというテレビでも紹介される有名な気功師から、気の出し方を学んで治療をしていた。何故、気を出せる人が直伝講習を受けに来ているのだろう。その医者に向かって坊主が話かけた。

「君、今のような気の出し方で治療をしていると、もうすぐ君は死ぬよ。」
「私もそう思います」と答えた。その医者は死人のような生気のない顔をしていた。
「今から私が正しい気の出し方を教えるからその通りにしなさい。阿久根さんの気の出し方は間違っている。私の気の出し方を学べば今のようにひどく消耗することはない。中国の気功師が1日3人しか患者を治療しないのは、自分を守るためだ。君も自分を守らなければならない」と言った。

直伝講習で気の出し方を習うと、実際に気を出せているかどうかの卒業試験がある。
石を素手で割る、スプーン曲げ、それに百目ロウソクを20本ばかり束ねて火をつけ、その中に手のひらをしばらくかざすというものだ。3つの試験に合格すると、私は気を出せる確信をもてるようになった。腰痛の患者さんを治療しても触らずに痛みをとることが出来る。自分でも不思議だった。直伝講習後の飲み会で、坊主が酒の味を変える方法を教えてくれた。やってみると確かに変わる。アルコールが軽くなるように感じるのだ。

酒の味が変わるのは気の客観的証拠になると思った。本当に酒の味が変わるのか調べてみたい。

そこで酒造会社の研究員に電話をして協力を依頼した。関脇酒造のワンカップ関脇のアルコール濃度が変わるか酒造会社の研究室でクロマトグラフィーを用いてテストした。私一人ではせっかく実験をするのにもったいないから空手8段の気功師も呼んだ。
ワンカップをテーブルに置いて気を送り、アルコール度が変わるか測定した。空手8段の先生のアルコール濃度は変化なかった。私のワンカップは有意差があるかないかの線上より少し内側で、残念ながら有意差なしの判定だった。ただし、利き酒をしてもらったら、「確かに味に変化がある」と研究員が言う。「これは水分子の集合体(クラスター)が小さくなったときに起こる現象だが、ここの装置では水のクラスターの大きさは測定できない」と言われた。

気功で患者さんを治療すると、確かに効果がある。だが、治らない場合ももちろんある。
すべての人が治るわけではない。それは自分の気の出し方が弱いのか、患者さんが重症なのかよくわからない。

面白い話を聞いた。気功のできる俳優さんが癌の患者さんから病気を治して欲しいと頼まれた。「病気を治してくれたら自分の住んでいる豪邸をあげる」と言われた。その俳優さんは自分が死ぬか生きるかという瀬戸際まで気を出して治療した。体はボロボロになった。
はたして癌が治った患者さんは前言を取り消して豪邸をくれなかった。

私は、人というのは体に触れずに病気を治してもらっても感謝しないのだろうと思う。
自分の免疫力で自然に治ったと考えてもおかしくはない。だから気功で病気を治すのは経済的に引きあわない。気功はやはり宗教的な儀式の中で行われるのが似つかわしい。

もし、私が気を使って10人中5人の難病患者を気で治すことができたとしよう。
私は宗教法人の教祖になる。そして治った人には、治ったのは信仰のおかげだから寄進をしなさいという。治らなかった人には信仰心が足りないから病気が治らない。もっと寄進をして信仰を高めなさいという。つまり新興宗教のマル秘テクニックに最適なのが気功なのだ。これを医療として行うと、治らなかった5人からどうして治らないのだと文句を言われてしまう。

こんな話をすると、宗教的な動機から無償で治療を行っている宗教団体に申し訳ない。命ほど大切な自分の気を人に分け与える行為は宗教的行為以外の何物でもないからだ。
ただし、新興宗教の[病気を治す]といった勧誘には気をつけて欲しい。結局、寄進をさせられるだけに終わる場合が多い。

気を研究して私が得た結論は、気を出す方法は間違いなく存在し、さらに高度な気を出す方法や気を貯める方法もあるに違いないということだ。
だが、私は気を出すテクニックを永遠に封印することに決めた。病気は医者として治す。気は漢方医学を理解するための道具であったと考えることにした。

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