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漢方医

第4話「製丸機を買う」

様々なことが分かってくると自分で丸剤を作ってみたくなった。そこで大手の機械メーカーを訪ねた。すると製丸機が1台1,500万円もする。それだけではなく、ニーダー(練り合わせる機械)、成形機、乾燥機などをそろえると5,000万円かかる。問題は費用だけではない。丸剤を丸くする揉み板の調整が難しく職人的技術を要する、さらに掻き取り歯の操作を誤ると指を切断する可能性もある。とても開業医が操作できる機械ではない。

生産機械工場を訪ね歩くうちに面白いことが分かってきた。見学にいっても機械がないことが多い。素人の私は車のショールームのようにカタログにある商品は見られると思ったのだが、受注生産なので作りかけの機械はあっても完成品がない。生産現場で機械を導入している人には常識でも素人の私には分からなかったことだ。またすべて注文生産なので、こちらの希望に合わせて機械を作ってくれるのだが、作ったことのない私にはどんな機械が自分にはよいのかも分からない。

こんなことがあってから製薬工場に生産機械を見にいくようになった。錠剤を作る機械、造粒機、粉末を作る機械など漢方メーカーで使う機械をすべて見学した。ある工場ではエキス末を顆粒にする乾式造粒機を見た。高さが120センチほどの冷蔵庫のような大きさでホッパーからエキス末を入れると幅7センチほどのローラーがその粉を押しつけて板状にする。単純な構造なので安いと思い、お値段は幾らですかと聞くと800万円だという。あまりに高い値段なので聞き返すと、注文生産ですからという。なるほど1台だけ作るから高くなる。冷蔵庫でも自分だけの特別な仕様の冷蔵庫を作ってもらうことになると1台100万円ではすまないだろう。注文品は量産品より飛び抜けて高いのだ。我々の生活の中にも注文生産品はある。たとえばボートだ。ボートを趣味にしている人は少ないかもしれないが、船を作ってもらうとなると定価は存在しない。無論、定価販売しているボートもあるが、船は大きければ大きいほど遠くへ行けるし、悪天候でも安全だ。

私の診ていた患者さんでボートを趣味にしている人がいた。兵庫運河にボートを置いていて、神戸港から出港して釣りにいく。私も免許を持っているので時々一緒に出掛けた。しばらくしてその患者さんは肝臓癌を患い亡くなった。葬式に出席してから2カ月ばかり経ったある日、その人のお嬢さんが私を訪ねてきた。「家族にボートを趣味にしている者がいないので、ボートを差し上げるからもらっていただけないでしょうか?係留する権利もあります。先生がもらってくれると父も喜びます」という。そのボートには不似合いなほど大きなジーゼルエンジンが積んであり、船というのは自由にカスタムメイドが出来るから定価がないのだということを患者さんから聞いて知っていた。ボートの持ち主は飛行機も持っていたが、「飛行機だけは止めときなさい。フライト計画から少しでも遅れると捜索機が飛ぶので、おちおち観光などできませんよ」と教えてくれた。結局ボートはいただかなかったが、私のような庶民の知らない金持ちの世界には定価というのは存在しないのだろう。

ある時、台湾製の安い製丸機を見つけた。値段は60万円、カタログはあるが実物はないという。構造的に安全なようだが使い方が分からない。とりあえず使ってみないと分からないので買うことにした。実物を見るとローラーについた余分な材料を掻き取る歯がブリキで出来ていて錆びやすいし、歯が固定されているので衛生的ではない。改造したいのだが開業医の私に鉄工所の知り合いなどいない。

kan2_1_8私の患者さんで工場の機械を管理している人がいるのを知っていた。雑談好きの私は患者さんと雑談ばかりしている。そのことが役に立った。患者さんに相談したら、小さな鉄工所を紹介してくれた。歯は錆びないようにステンレスにして欲しい、ローラーとの間隙を狭くして掻き取の歯は手で取り外しができるように蝶ネジにして欲しいなどの注文をつけた。一度での改良では済まず2度目に何とか仕上がった。乾燥機はコンピューター制御のいいものを買った。

機械が揃うと朝6時半から診察の始まる9時半までの間に丸剤を作り始めた。作るといっても試作機なので1日500-600gくらいしか作れない。材料を練るのが大変なので、餅つき機を買って粉を混ぜ合わせた。毎日、毎日丸剤を作り続けた。パン屋さんの苦労が分かった。だが苦労はパン屋さん以上だ。パン屋さんの材料は基本的に小麦粉だが漢方は性質の違った生薬末を使う。糖分の多い材料は機械にべたべた材料が引っ付く。油性成分の多い桃仁、麦門冬は丸剤にならない。材料によって賦形剤を変えなければならない。ともかく厄介なのだ。なるほど中医学で必要な処方以外丸剤にしない理由を肌で感じることができた。

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