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漢方医

第6回「鍼灸治療の研究」

鍼灸治療の研究

多くの人たちは学校教育を終えると勉強しなくなる。職場での昇進試験やTOEICは強制されるから仕方なくする。だが、強制されない勉強をする人はほとんどいない。長い間、受験勉強をしてくると試験のために勉強する癖がつく。試験でいい成績をとって評価されることに喜びを感じる。試験のない分野で勉強するのは意外に難しい。悪い成績をとって叱られることもないかわり、いい成績をとって褒められることもない。学校を卒業しても勉強を続けていく癖をつけるためには勉強する方法を考えねばならない。
漢方医学は漢方を教える学校がない以上、自分で工夫して勉強していく以外に方法はない。漢方の世界は治療が上達したのかしないのかさえ分かりにくい。こういう世界で天狗にならず、勉強する意欲を落とすことなく努力を続けるためにはどんな工夫をしたらいいのだろう。それには漢方しか使えない状況に身を置き、漢方の治療効果を確かめながら、症例を詳しく分析してつねに興味を漢方に置くことだ。そうしなければ努力が中途半端になる。実力がどのくらいか測れない世界だから、ややもすると自分は名医だと勘違いしてしまう。理想を高く持つだけでは日常の生活の中で気づかぬうちに緩んでしまう。漢方薬に関しては山本先生という偉大な目標があり、努力できる環境も整えることができた。だが東洋医学の中で漢方薬と並んで重要な治療法である鍼灸は私の興味を引かなかった。

ある日、私は中医学を教えてくれた豊島先生と一緒に食事に行った。先生はビールを飲みながら、何故、自分が漢方の道に入ったかを説明してくれた。先生は産婦人科医として活躍していた時、手術中に自分の指を誤って傷つけ、肝炎ウイルスに感染し、勤務している病院に入院した。入院は半年にもおよび、看護士たちは先生が生きて病院を出ることはないだろうと噂していた。ある時、退職前の看護士長が先生を見舞った。そして「整体で難病を治療する人を知っている、治療費はすでに払ってあるから治療を受けるように」と勧めた。看護士長が退職の前日まで先生に治療を勧めずに黙っていたのは、看護士長という立場のある者が[整体で病気が治る]といったたぐいの話をして病院の中での自分の信用を落としたくなかったからだと告白した。先生は半信半疑で外出許可を貰い、治療院を訪ねた。治療師はお婆さんで、背骨の両側にお灸をすえ、首をボキボキ鳴らして治療は終わった。たった1回の治療で肝臓の異常値は半分にまで下がった。これをきっかけに先生は鍼灸、漢方などに興味を持ち、それらの治療を統合して受けることで、肝炎は完璧に治った。

私はこの話を聞いて、そんな技を学ぶことができれば、どれだけすばらしいことかと思った。そう私は好奇心を刺激されたのだ。その治療師はすでに亡くなっていたので、各地の有名な鍼灸師を訪ね歩くことにした。

鍼灸師の秘密

初めて紹介されたのは、お婆さんの鍼灸師だった。フランス語と英語が 堪能 ( たんのう ) で、時々フランスに出かけて鍼を教えているという。治療場所に行くとすでに患者さんが6人ばかり待っている。しかしその鍼灸師は現れない。2時間ばかりして姿を見せると、遅れたことを詫びることもなく治療を始めた。治療は変わっていた。経絡というツボとツボを結ぶ線上を指で指圧していく。そして経絡の最後のツボに金の鍼を1本うつだけだ。私の質問には親切に答えてくれたが、何時、施術が始まるかわからないから見学にいくことができない。私はこの先生の鍼を学ぶことを諦めた。

ツボと経絡を示す人形

ツボと経絡を示す人形

しばらくして友人のお母さんが腕のいい鍼灸師だとわかった。そこで施術を見せて欲しいと頼み込んだ。すると「本来なら他人には見せないのだが、特別に見せてあげる」と言われた。そこで見学に行ったのだが、お母さんがにこやかに対応してくれるものの治療は見せてくれない。「あの-、治療を見せて欲しいのですが」と頼むと、「それでは先生に鍼をしてあげましょう」と言われて、パンツ一枚にされてしまった。何処も悪くないのに鍼を打たれてもどう効いたのかわからない。おまけにその日は何故かパンツを裏返しに履いていたから恥ずかしさのあまりどんな治療をされたか分からないままに見学は終わってしまった。服を着ながら鍼治療を見せないのは、早々にお帰りくださいということだと思った。

大阪の道修町に灸治療で有名な先生がいて内臓疾患も治せるという噂を聞いた。そこで知人を通じて見学の許可をもらい出かけていった。初老の先生の下で男女の弟子が忙しく働いていた。この先生のお灸は独特だった。2ヶ所に灸をすえるだけ。どんな病気も腰の2ヶ所しかお灸をすえない。一般的な灸は体にある365のツボのうちから疾患に応じてツボを選んで灸をすえる。なぜ2ヶ所で効果がるのか、この灸のしかたにどんな経験則があるのか興味をもった。「鍼灸について良い本はないのですか?」と私は婉曲的に質問した。すると「君ね。自分が30年も苦労して開発したものを、たとえ1冊5万円でも本にすると思いますか?」と言われた。なるほどそういうものかと思った。後になってそこで働いていた若い男女はその先生の息子と娘であることがわかった。

いろいろ訪ね歩いたが、誰も本当のことは教えてくれなかった。山本先生のように気前よく教えてくれる人が例外であって、鍼灸の技は、中国の家伝処方のように大切に守られていたのだ。
捨て灸という言葉がある。お灸をすれば火傷の後が皮膚に残る。そうすれば秘伝のツボの位置がばれてしまう。それを防ぐため、江戸時代はわざと必要のない場所にもお灸をすえていた。それを捨て灸というのだ。そんないやらしいことまでして治療情報が漏れるのを嫌ったのだ。その後も見学は続け、柔道整復や灸頭鍼(鍼の頭にモグサをつけて灸をする)を見にいったが、役に立つものはなかった。

オステオパシー

ある時オステオパシーという聞きなれない治療法があることを知った。そこでオステオパシーの第一人者といわれる古賀先生に電話をかけて見学させて欲しいと頼んだ。すると、九州の東唐津まで来てくれれば治療を見せてあげると言われた。約束の前日、仕事を終えてから新幹線に乗り出かけていった。その晩は唐津のホテルに泊まった。安ホテルの部屋の蛍光灯がジッジッと音をたてて点滅していたからよく眠れなかった。翌朝、約束の時間に遅れてはいけないと思い、2時間前には東唐津駅まで来た。昨夜から木枯らし一号が吹いて急に冷え込んだ。コーデュロイの上着しか着ていない私は寒くて凍えそうだった。

寒かった東唐津の駅

寒かった東唐津の駅

暖を取ろうにも駅には待合室も、そして駅前には喫茶店もない。駅を出て見回すと、遠くに病院があるのを見つけた。そこで病院の待合で暖をとりながら約束の時間を待った。

オステオパシーとは聞きなれない言葉だが、米国発祥の治療で、カイロのような体の歪みを治す整体のような治療法のことだ。ただしカイロと違うところはオステオパシードクターいうのは医者であり、体の歪みの矯正で治らない病気には手術もする。つまり整体師と医者の両方の資格を合わせ持つ医者のことをオステオパシードクターという。

初めて会った古賀先生は大柄な80歳くらいの老人であった。戦前に宣教師からこの技術を学んだという。初対面の私になぜ自分が体の歪みに興味をもったかを話してくれた。若い頃、ボタ山にのぼっていたとき、トロッコが暴走してきて足に激しくぶつかった。先生は編み上げ靴をはいていたが、靴は破れ、踵の肉が引きちぎれて皮一枚で踵の骨にぶら下がるという大ケガをした。手術をうけてなんとか歩くことができるようになったが大きな傷が残った。そこで先生はふと話をやめ、靴下を脱いで踵を私に見せた。深い傷が踵を取り囲むように残っていた。

しばらくはびっこを引いて歩かねばならなかった。悲劇がおこったのは傷が癒えだしたころからだった。ある日、先生が目を覚すと部屋がかすんだようにみえる。何か炊きものでも焦がして煙が出ていないか母に聞いてみたが、なにもしていないという。そうするうちに日ごとに目がかすんでいった。病院にいって目の検査を受けたが原因はわからないままどんどん見えなくなり、明るさがかろうじてわかっていたのだが、最後にはとうとうまったく見えなくなった。お母さんに眼を見てもらうと瞳が白く濁ってしまっている。父親は瞳が白いのは格好が悪いので角膜に入れ墨をいれて黒くすることを勧めた。昔はそういう美容治療もあったらしい。だが、先生は嫌だと断った。

絶望感にうちのめされていた先生だったが、子供の頃によく親に連れていってもらった歌舞伎で「神社におまいりして目が見えるようになった」という 壷坂霊験記 ( つぼさかれいげんき ) を思いだした。そこで毎日、朝晩2時間ずつ仏壇の前に姿勢を正して座り、「どうか眼がみえるようになりますように」と祈ったという。すると不思議なことがおこった。数カ月がたったころ、薄ぼんやりと明かりがわかるような気がした。そして日に日にそれは明るさを増し、ぼんやり物が見えるようになった。その後も正座を続けるうちに、まったく正常に見えるようになった。そこで先生は話をやめてつぶやいた。「もし父親の勧めに従って墨を入れていれば、永遠に光をみることはなかっただろう。」

「どうして見えるようになったのですかと」と私は聞いた。すると先生は「ケガで体が歪んだせいで頭蓋骨まで歪んでしまったのだ。正座して姿勢を正しているうちに体の歪みがとれ、それにつられて頭蓋骨の歪みが治った」という。だが私にはとても信じられないことだった。私が考えこんでいると、その様子をみてとったのか、先生は午後からの診察を見学するようにいってくれた。この診療も不思議なものだった。
頭蓋骨がゆがむと聞いてもなかなかピンとこない。でも耳の高さが左右で違って眼鏡を斜めにかけているような人をみたことがあるかもしれない。顔もよく見ると、鼻が曲がっていたり、唇の左右の高さが違っていたりと、左右対称の顔の持ち主はほとんどいない。この顔の歪みを先生は、背中をバッキと捻じっただけで治してしまう。左右の耳の高さやほお骨、鼻の骨の位置もまっすぐになる。不思議でしょうがないのだが患者さんの顔を触らせてもらって確かめると、たしかに真っ直ぐになっている。

寄付を集めるパンプレット

寄付を集めるパンプレット

治療が一段落すると、アメリカへ行った時の話を始めた。このオステオパシー治療の発祥地である医科大学はどんなにすばらしい技を持っているのか以前から気になっていたのだという。アメリカの医師たちは、日本から来たオステオパシーの治療師の腕が気になった。そして先生に治療の手技をみせてくれと頼んだ。先生が手技を披露してみせると、アメリカ人の教授たちは驚き、先生を寄附講座の教授にした。
先生は東京でも治療していたので、何度か東京にお邪魔して治療を見せてもらった。また私のクリニックまで来てもらって治療してもらったこともある。それは緑内障の治療だった。緑内障とは眼球の内部の圧が上がって失明してくるという難しい病気だ。緑内障は眼球が入っている頭蓋骨の穴(眼窩)がゆがんで眼球を圧迫しておこるのだと先生はいう。この話を眼科医が聞いたらあまりにも馬鹿げていると笑いとばすだろう。緑内障の患者4人を先生に治療をしてもらった。すると一回治療しただけで3人の眼圧が平均4~5ほど下がってびっくりした。先生の治療法は複雑すぎて、漢方医として臨床をしながらオステオパシーの治療をすることは無理だった。

先生の話の中で私が感心したのはアメリカ人の発想の自由さだ。民間治療師の古賀先生を教授にすることで、何十年もかけて先生が蓄積してきた技術を巧みに大学は取り込んだ。アメリカで行った治療はすべてビデオに納められて保存された。先生はアメリカの医科大学の教授として自分の治療法が認められたことに満足していた。

体の歪みと視力

見学から帰ってきてから、しばらくして私は体が歪むと目が悪くなるという症例を経験した。患者さんは40歳の男性。交通事故で右下肢を骨折した。手術をしたが骨が癒合せず半年後に再手術をした。しかし、1年たっても骨はつかなかった。

左:受診時、右:6ヶ月後の写真

左:受診時、右:6ヶ月後の写真

患者さんは装具をはめ、松葉杖をついて私の治療を受けに来た。骨折が治らないだけなく、最近になって目も悪くなってしまった。病名は中心性網脈脈絡膜炎。眼科で治療を受けるもよくならず、暗い気持ちになっていた。私はまず骨折から治療しましょうといって、骨折を治療した。6ヶ月で完全に骨折は治った。すると目のほうは治療するまでもなく治ってしまった。やはり目と骨格の歪みは関係がある。それからというもの体の歪みと視力に関して研究していった。すると、腰痛の人に鍼をすると腰痛が取れるばかりでなく、視力が良くなることもあることが分かった。だから古賀先生が体験した視力の回復は多分本当なのだろうと思うようになった。

様々な治療

オステオパシー以外にもカイロプラクティック、足裏マッサージ、リンパマッサージ、耳鍼、整体などという治療法がある。これらの治療を片っ端から私は研究しようと決めた。鍼だけでもいろんなやり方があるからそういったものを見学するうちにすばらしい治療に出会うかもしれない。

県立病院の麻酔医の先生が中国鍼を用いて治療しているというので見学に行った。先生は長さ10センチ以上もある中国鍼を左手に10本ばかり持って現れた。中国鍼は日本の鍼に比べて太い。そのただでさえ太い中国鍼の中でも見たこともないほど長くて太い鍼だった。鍼は少々力をかけてもたわみもせず、まるでクギのようだ。先生は左の手のひらの中で鍼をジャラジャラもてあそびながら、そのうちの1本を取り出すと、右手に持ち替えて、座っている患者さんの白い首に突き立てた。突き立てた拍子に患者さんの頭が揺れた。まるで五寸釘を白い大根に刺すようにグイグイ押し込んでいく。先生は「こんなところにも鍼が打てるのも解剖をよく知っているからです」と説明した。しかし「消毒もせずにそんな太い鍼を首に打つことなんて」と思った。鍼は3千年以上の歴史があり、消毒の概念がないころから使われている。鍼の切開面積が小さく、よほど体力が落ちているかもしくは鍼が不潔でなければ、感染症は起こらないだろう。鍼は滅菌されていたが、やはり皮膚の消毒は必要だ。それに鍼の効果があったとしてもこの鍼を多くの患者さんは受け入れてくれないだろうと思った。

全身のツボを示す耳の模型

全身のツボを示す耳の模型

次に興味を引いたのはダイエットで有名な耳鍼だ。この耳鍼はもともとフランス人の医師のノジェが考案したものだ。ノジェはヨーロッパにあった耳の刺激法を洗練して耳に全身のツボが投影されていると結論づけた。投影された耳の場所を治療すると体の悪い場所が治るという。日本には耳鍼で無痛抜歯のできる歯科医の坂下先生がいた。この先生を病院に招いて勉強会を開いた。先生は耳鍼による麻酔で、小学生の女の子が抜歯しても泣きもしない様子をビデオで見せてくれた。耳鍼を実際の治療に使ってみたが、ダイエット効果は1~2キロしかなかった。耳鍼は鍼を皮下に入れたままテープで止めて治療する。鍼は1週間くらい入れっぱなしになるからテープにかぶれる人もでてくる。面倒なわりには効果がないと感じた。

足裏マッサージは治療を体験しただけで失望した。確かに足は楽になるのだが、体全体の爽快感は得られない。足裏マッサージも耳鍼と同様に足の裏に全身のツボが割り当てられている。これはアメリカで開発された治療法だ。耳鍼はフランスで、足裏はアメリカ生まれ、2つとも西洋が発祥地で医療体系が出来て100年も経っていない。色々研究したが、耳とか足の裏といった体の一部に、体の全体のツボが投影されているとは私には思えなかった。

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