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夢の中の老人

第28話「フグでワインが飲めますか?」

老人に案内されたフグの店は路地裏にひっそりとたたずんでいた。店は9月から翌年の3月までの半年しか開いていない。フグは冬が旬で、夏に食べる酔狂な人はいない。この店は、昔ながらのフグ料理店の伝統を受け継いでいる。こういう店がまだ残っているのが嬉しい。

フグの店「路地裏に名店あり」という言葉をふと思い出した。戸を開けると「いらっしゃい。」と若女将が迎えてくれた。

老人は、「テッサ(フグの刺身)は大皿に盛ると綺麗だが、食べるときに他の人に気を使うので1人前半を個別の皿に盛り、皮の湯引きも一人ずつにして欲しいと頼んでおいたのだけど大丈夫かな?」と声をかけた。

「はい準備しています。」と女将が答える。次に「白子を焼いて少しばかり分けてもらえるだろうか?」と老人が聞く。

「大丈夫です。一人2切れずつでいかがでしょう?」

「それでお願いします。」と老人が答える。白子など、数に限りがある品物は、やたら注文すると店の迷惑になるので、常連はその辺のところを心得ている。
「さて今日はワインがフグに合うかどうかなので、フグの揚げ物も少し用意して下さい。」そういって注文が終了した。

横井ソムリエが登場

参加人数は6名、店は予約が取れないので半年前から予約を入れてある。
何故6名かというと、ワイン1本で6杯分だからだ。老人は横井ソムリエから出席者を6人にするように厳格に言われていた。中途半端な人数だとワインの用意が難しい。
参加者は弁護士、公認会計士、医者、企業の社長など全員が自営業者だ。今回、初めての参加者は老人の叔父で、今は不動産を中心に商売をしている。最近、50億円でビルを買ったという。

本日のワイン横井ソムリエが到着してワインの説明を始めた。「今回はシャンパン3本に白と赤のワインを用意しました。」

老人は「私が去年の夏に志摩観光ホテルに行った時、サミットで活躍した知り合いのソムリエに、フグにワインを合わせるのはどうですか?と聞いてみた。
すると、『基本的にポン酢で食べる料理だからワインを合わせるのはとても難しいでしょう。またアサツキ(細いネギ)を合わせるわけですから相当難問です。』そう言われたのですが、その情報は夏頃にお知らせしましたよね。」と横井ソムリエに声をかけた。

「はい。そこで知り合いの山本ソムリエと色々検討してワインを選びました。基本的にシャンパンはどんな料理にも合い、日本料理にも相性がいいのです。」

「なるほど。今、ふと思ったのですが、ビールはどの料理にも合わせて飲みますよね。それは炭酸が飲むたびに口を洗浄するからではないですか?
フランス料理で煮込み料理などの重たい料理の後に炭酸入りのミネラルウオーターのペリエを勧められたりしますよね。炭酸にはそんな役割があるような気もします。口に料理が残っている時、例えば肉料理が残っている時に白ワインを飲んだりすると、何やら合わない感じが残るのは口の中でワインと肉が反応を起こすのではないかと思います。」

「確かにそういう側面もあるかもしれません。ただシャンパンはもう少しデリケートで、細かな泡の滑らかさ、料理に合わせた香り、辛口や甘口といったデリケートさを楽しんでいただけたらと思います。」

「なるほど。」と老人は楽しそうに頷いた。

老人の叔父

老人の叔父はみんなの話を楽しそうに聞くだけでニコニコ笑っている。どう見ても好々爺にしか見えない。老人は自分の叔父を出席者に紹介し始めた。

「叔父はデパートの納入業者など色んな商売をしてきて、今は不動産を中心に商売をしている。世間の人は叔父を誤解していて、丁稚からのたたき上げと思っている人が多い。しかし叔父は工学部と経営学部を出ていて技術士と中小企業診断士という理科系と文科系の2つの資格を持つ学者だ。一見、穏やかな好々爺だが、一旦商売の話になると噛みつき亀のように攻撃的だ。」

出席者から笑いが起こる。

「ある時、叔父はチケット安売り店が繁盛しているのを見かけた。何を思ったのか、叔父はその列に並んだ。そして自分の番が来ると、『チケットの商売を教えて下さい。』と頼んだという。
チケットの商売のノウハウはチケットの仕入れにあり、教えてくれるはずもない。すると叔父はまた違うチケット屋に並んで教えを請うた。
そういうことを繰り返すうちに、大阪のチケット屋の親父が『そんなにやりたいならやってみなはれ。』と言ってノウハウを教えてくれたという。叔父が仕事を始めてみると、チケット屋は現金を扱う商売なので、家族経営でしているところがほとんどだと分かった。叔父は経営工学とコンピュータを駆使してその日に雇ったオバちゃんでもチケットを売る仕組みを作り上げ、チケット屋を日本一の規模にすると、チケット屋のピークは過ぎたとM&Aで売却してしまった。」

「なるほど。これは学者だからできることですね。」と私は思わず口を挟んだ。

老人は叔父の経営哲学について説明しだした。

「叔父はお金を道具と考えていて、道具を借りる借り賃が金利だという。事業は全て借金から始まり、50億~100億という資産を築いてきた。では金の亡者かというと、まったくそうでない。
ある時、叔母と叔父、私の3人で食事に出かけた。赤暖簾の中華料理店だ。餃子が美味しいと連れていってもらった。小ぶりの餃子が山盛り皿に乗せられている。確かにうまい。しばらくすると叔母が『野菜が足りない。』と言ってモヤシ炒めを頼んでくれた。そして食事は終了した。叔父はお金にも贅沢にも興味がなく、商売というフィールドの中で自分の経営学、経営工学を実験して楽しんでいるのだと分かったのだ」

なるほどといった顔で出席者がうなずいている。老人は横井ソムリエに

「叔父の紹介に時間を頂いて恐縮です。ワインの紹介をお願いします。」といった。

ワインの説明

エキストラ・ブリュット ブラン・ド・ブラン レ・ピエリエール(2011) エキストラ・ブリュット ブラン・ド・ブラン レ・ピエリエール(2011)
ユリス・コラン 2011 シャルドネ 辛口
エクストラ・ブリュット ロゼ・ド・セニエ・マイヨン(2011) エクストラ・ブリュット ロゼ・ド・セニエ・マイヨン(2011)
ユリス・コラン 2011 ピノ・ノアール 辛口
ブリュット パリ フォリ ミレジム1988 ラ キュヴェ サヴール ギ―・ミッシェル 1988 ブリュット パリ フォリ ミレジム1988 ラ キュヴェ サヴール ギ―・ミッシェル 1988
大変希少なワインで入手困難 ピノ・ムニエ 70%、シャルドネ30%
デュルンシュタイナー ケラーベルグ リースリング スマラクト F.X.ピヒラー デュルンシュタイナー ケラーベルグ リースリング スマラクト F.X.ピヒラー/(バッハウ オーストリア)2010
入手困難な白ワイン ロバート・パーカー氏は満点の5つ星
リースリング
シュぺートブルグンダー・カマーベルグ2007 シュぺートブルグンダー・カマーベルグ2007
フリードリッヒ・ベッカー
赤ワイン ピノ・ノワール

入手困難なワインばかりなので、出席者から歓声が上がる。
白子、刺身、唐揚げなどにシャンパンを合わせながら飲んでいく。どのワインも素晴らしいとの声が聞こえる。

ワインの評価

宴も終盤に差し掛かった時、老人が口を開いた。

「横井ソムリエ!シャンパンの中で一番合うと思ったのは、1988年のギー・ミッシェルです。濃厚な味わいはポン酢にも負けずとても美味しく感じました。」

「ギー・ミッシェルは女性に例えると中年の女性といった趣きがあります。」と横井ソムリエ。

「そう、熟年のマダムが口うるさいクライアントを笑顔で上手くあしらっているとでもいいましょうか?そんな感じです。」

「あなたは熟女好みですね。」と横井ソムリエが老人をからかう。

「特に印象に残ったワインは?」と横井ソムリエが聞くと

フグ「どれもとても美味しかったですね。興味深かったのはピノ・ノワールの赤ワインでしょうか?
赤ワインをどう評価したらいいのだろうかと思いました。美味しい赤ワインだがフグに合うというよりそのものが独立している。独立はしているのだが、フグ料理の中で矛盾は起こしていない。

そう思いながら、ふとヒレ酒を思い出しました。フグのヒレを板に貼り付けて乾燥させ、こんがり焼いて熱燗の中に入れて飲む。香ばしい匂いを楽しむ。
ヒレ酒がフグ料理に合うかどうかは別にして、フグ料理の中に組み込まれた料理の1つとして存在し、それに誰も矛盾を感じない。しかもフグ料理以外では存在しない。この赤ワインもそういう風に理解したらいいのでしょうか?料理から独立はしてはいるが、この存在に何の矛盾もない。そう思いました。」

この禅問答のような会話を耳にして店の若女将や板前はこの酔狂な集団を好奇の目で見つめていた。

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