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夢の中の老人

第22話「別荘を買うなら都会だ (都市別荘)」

「別荘を買うなら都会だ。」と老人が妙なことを言い出した。私は老人の言葉を遮るようにいった。
「どうしてですか?都会に住んでいる人が、人混みに疲れ、自然の中でゆっくりと気を休めるのが、別荘の意義でしょ。都会に住んで都会に別荘を持っても何の意味もないじゃないですか。別荘といえば軽井沢で、夏の暑い時期に避暑に行くことだと思います。」

「そもそも避暑などという考え方が古すぎる。それはエアコンのなかった時代の考え方だ。」

「でも緑の中をくぐってきた気持ちの良い風に当たっていると、本当に元気になります。暑さで弱った体を自然の涼しい気候が癒してくれるのです。」

「俺の知人が軽井沢に避暑に行ったのだが、セーターを着ていても冷えすぎたと言っていた。夏は暑さに弱ると言うより、エアコンで冷えすぎている人の方が多いのじゃないか?そもそも軽沢は夏に使えても冬には使えない。体調を整えるなら避暑より避寒の方がずっといい。真冬に暖かいところに行くほど贅沢なことはない。暖かいと本当に体調が良くなる。もっとも俺は軽井沢を否定しているわけではない。」

「では何なのですか?東京から避暑に別荘のある名古屋に行けとでも言うのですか?」

「そうじゃないんだ。避暑だけの目的ならわざわざ別荘を持たなくてもホテルに泊まってもいいのじゃないか?夏しか使えないのだから。別荘を持っていると手間がかかるだろ。
泊まりに行っても掃除から始めなければならないし、ゴミ出しもしなければならない。固定資産税もかかるし、水漏れがしたりと、何かと面倒だ。」

「確かに面倒ですね。金銭的なことを考えると。軽井沢は高級別荘地だから値下がりすることは少ないけれど他のところなら別荘地の値段が下がることがありますしすね。でもそれが贅沢ということです。」

「その通りだ。だが、経済的な負担が大きすぎることもある。スキー場で有名な湯沢では、バブル期に数千万円もしたリゾートマンションが今では100万もしない。スキー人口が減っているし、夏は何もすることがない場所だ。管理費を滞納している人も多いからマンションそのものの価値がなくなろうとしている。スキーをしたいのならホテルか民宿に泊まればいいじゃないか。過疎地に妙な別荘なんて持っていると大変なことになる。ある人が、使わない田舎の家を壊して公園として寄付しようとしたのだが自治体から断られたという噂を聞いた。田舎に公園は要らないし、自治体は固定資産税が入る方がいいからな。」

「恐ろしい話ですね。過疎地に不動産を持つ怖さですね。夏とか冬にしか使わないのなら貸別荘で十分ということですね。」

「無論、貸別荘という考え方もあるが、やはり田舎の別荘は不便だ。コンビニは近くにないし、洒落たレストランもない。家でメシを作るのも面倒だ。」

「じゃあ、不便だから都会に別荘を持つのですか?」

「俺の義理の親父は釣りが趣味でよく釣り船に乗っていた。ある時、船頭の家が火事になった時に、建て替えの費用の一部を出してやり、ついでに離れを自分用に建てた。いつも行くので、荷物やテレビを置いて使っていた。始終趣味で使うなら別荘を持つのもいいだろう。だがみんな忙しくてそんな趣味の時間を持てないだろう。」

「では避寒の目的でハワイにコンドミニアムを買うのはどうですか?」

「いいね。最高だ。だがものすごく金がかかる。物件も高いが管理費がすごく高い。遠いからなかなか行くことができない。日付変更線越えて行かねばならないし、また入国審査もある。それならホテルの権利を買って、自分の行く時だけ借りるようなシステムもある。面倒ならホテルでいいじゃないか?」

都会の別荘地

「俺が都会の別荘というアイデアを思いついたのは、東京に住む必要が出てきた時に場所探しをして偶然に思いついたアイデアだ。東京の高級住宅地はどんな場所なのか、広尾、松濤、田園調布、成城学園前、番町などを見て歩いた。こういう住宅地は関西の高級住宅地と比べて優れているとは思えなかった。二子玉川は俺が住んでいるところと雰囲気がとても似ていた。関西も東京も同じような住宅地では面白くない。そこでもう少し東京らしい所に住みたいと思った。ただあまり都心すぎると生活環境が悪くなる。金銭的な制限もある。色々探して今の場所を見つけた。渋谷のデパートまで20~30分で歩け、マンションの5階だが、冬になり遠くの木が葉を落とすと富士山を見ることができる。だから今は東京らしい生活を楽しんでいるのだが、関西の良さも理解できるようになった。」

「なるほど、それで。」

「我々の生活を振り返ってみると、金持ちでもゆっくりと時間を過ごす余裕がなくなってきていることに気づくはずだ。我々庶民はなおのことゆっくり別荘に行ってくつろげる時間を持つことができない。歳をとってからなら田舎の別荘でゆっくりくつろぐのもいいのかもしれない。だが都会に住む我々は、あまりに便利な生活に慣れ過ぎていて、何もない田舎の不便さに我慢が出来なくなっているのだ。それだけじゃない。都会は刺激的なところで、デパートがあるし、様々なお店もある。俺の友人は神戸から宮古島に引っ越して楽しく暮らしているが、デパートがないのが寂しいと言っていた。」

「確かに。便利に暮らしていると、我慢が出来ないことが多いと思います。確かに都会は刺激的です。」

「沖縄の離島に住む人が本島に用事で行って帰る時のおみあげが、ケンタッキーフライドチキンだというのを知っているだろう。グルクンの刺身やゴーヤチャンプルーだけでは飽きてしまう。最近はネットの発達で脳が刺激されてみんなすぐに退屈するようになった。だからよほど田舎で趣味がある人しか田舎の別荘なんか必要無くなってしまったのだ。」

「なるほど。東京なら退屈しないというわけですか?」

個人店「食事という分野で都会の魅力を考えてみよう。
東京にはケンタッキーフライドチキンの店が多くある。他のチェーン店も多くある。しかし都会にいるとそういう店にはすぐに飽きてしまう。何処にもないような個人の店が面白いということになる。
大都会にはそんな店が数多くあるので、刺激になり、楽しいのだ。

俺が通う神戸の元町にあるレストランのロッグキャビンだ。65年続く店だが、料理は俺が通い出してからの50年以上料理も店も変わらない。初めての人が行くのは難しいだろう。営業時間が短すぎるからだ。昼の営業は11時半から2時まで、夜は5時から7時までだ。この営業時間も昔から変わらない。

食事写真は俺がいつも食べているエビサラダと日替わり定食だが、すごく美味しい。またミルクティーが絶品だ。老夫婦が2人でしているだけだから、東京の多くの店のように事業を当ててやろうという感じではない。

もう一店、面白い店を紹介しょう。青葉という鰻屋だ。関西風に腹開きなのに関東風に蒸してから焼く。タレは関東に比べると関西風で少し甘めだ。こういう店の鰻と野田岩の鰻を食べ比べると興味は尽きないだろう。」

「都会には食文化 の多様性があり、楽しいということですね。」

「あまりに知られていないことだが、東京で人気な住宅地には商店街が残っていることが多い。広尾商店街、麻布十番、恵比寿商店街などだ。町の魅力はその多様性にあると言っても過言ではない。」

「なるほど。一口に都会といってもそれぞれの顔があるのですね。」

「そうだ。博多の屋台は個性があって楽しい。博多にはオコゼの専門店があったりもする。フグが食べたければ下関にいけばいい。有名な春帆楼もあるが、地元の人間は高すぎるといって行かない。
俺が言いたいのは、都会に別荘を持ち、自然の中に行きたいのならそこを拠点に日帰りをすればいいということだ。」

「なるほど。それなら地方の人が東京に別荘を持つのもありですか?」

「無論ありだ。東京に別荘を持ち、美味しい店を食べ歩き、コンサートや美術館に行くのもいいだろう。」

「でも、買うのは高すぎて届かないし、賃貸料高いでしょ。」

「東京に子供を出している親は多い。もしそうなら、下宿を少し広めのものを借りて、親が行った時に何とか泊まれるようにする。賃貸費用が月何万か余分にかかるが、それは貸別荘の費用と考えればいい。そこを拠点に観光する。ホテルと違いチェックアウト時間もないし、洗濯は子供にさせればいい。自分の着替えなども置いておくことができるから身一つで出てこられる。」

「なるほど、いいですね。」

「俺はエピキュリアンだからどうしたら楽しいことができるか、いつも考えている。都会に別荘を持つ場合、最適の場所は残念ながら東京ではない。東京は外から見えるほどバリエーションにとんだ街ではない。目新しいものが沢山あり、変化に富んでいて、住みやすいのが最高の別荘都会ということになる。

最高の場所は京都

言うまでもないことだが、日本で一番のエンターテイメントシティと言ったら京都しかない。
東京の金持ちもそのことはよく分かっていて、新幹線で2時間で行ける京都に別荘としてのマンションを持っている人が多い。最近、堀川通りに高級マンションの分譲があったが、三分の一を京都の人が買い、残りの三分の一は東京の人、さらに三分の一は外人が買ったという。

京都には歴史的建造物があるだけではない。食文化も面白いものが残っている。西陣には300年以上続くスッポンだけの店、大市がある。世界中を探しても単品料理でそこまで続いている店はない。私はいろんなところでスッポンを食べたことがあるが、ここのスッポンほど美味しい料理はない。川床料理を貴船で食べてみて欲しい。本当に夏でも冷房いらずだと理解できるだろう。

琵琶湖疎水

上の写真は京都市立博物館の近くの琵琶湖疎水のものだ。町の真ん中に田舎の川が突然出現する。

町家もう一つ左の写真は、四条河原町という一番の繁華街を路地のように奥まった料亭から眺めたものだ。京都の町家は奥に深い。雑踏とつながる一間ほどの入り口を5メートルばかり進むと鯉が泳ぐ池があり、料亭の扉の前で着物を着た女将が出迎えてくれる。ドラえもんの何処でもドアのような不思議な感覚に包まれる。
京都の東には比叡山があり、琵琶湖もある。琵琶湖ではヨットを楽しめるし、スキー場もある。滋賀県になるが湖北はドライブするにはとても美しい場所で、近江八幡の水郷めぐりに行くのもいいだろう。」

「なるほどね。京都か。確かに都市別荘を持つにはいいでしょうね。東京と違って我々でも普通のマンションなら買えそうに思えますしね。田舎と違い、マンションが売れなくて困ることもないから安心ですね。」

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